🌟学術運営委員会からのお知らせ~宗田作業療法士の参加体験談~🌟
昨年9月、京都市にて開催された第56回日本作業療法学会に参加し、『臨床現場における作業療法士による自動車運転支援の実態についての調査』という演題でポスター発表をさせて頂きました。
今回発表させて頂いたのは、出身校の卒業研究にて行ったアンケート調査結果で、大阪府立大学の臨床実習受入れ施設に勤務する作業療法士268名から回答を頂いたものです。
調査の背景として、近年、事故や病気で身体機能や認知機能が障害された方々のモビリティ(移動のしやすさ)を確保する支援の一つとして、作業療法士を中心とした自動車運転支援が注目されています。
怪我や病気により運転能力が障害されている可能性がある場合、それぞれの施設ごとに適切な評価方法を選択し、医師やリハビリ専門職、教習所指導員などが連携して運転適正を判断する必要があります。
しかし、病院施設や支援者個人ごとに運転適正評価に用いた資源や教習所との連携機会が異なる可能性があり、その実態や現状の運転支援の課題を明らかにするため、府内の合計40施設を対象にアンケート調査を行いました。
32施設の作業療法士268名から回答を頂き、このうち88%が脳卒中後の方々を対象に支援を行った経験があることが分かりました。
運転適正の評価に用いた神経心理学的検査については、運転技能予測に有効とされる検査が最も多く使用されていることが分かりましたが、ドライビングシミュレーターや脳卒中ドライバーのスクリーニング評価(SDSA)等は未だ普及途上であることが示唆されました。このほか、教習所と連携した経験のある施設は15施設であり、個人としては全体の26%(29名)にとどまりました。
本調査からは、自動車運転が支援対象者にとって、仕事や買い物などの手段として自動車運転が生活上行う必要のある作業であることが再確認され、作業療法士として支援に取り組む重要性を知ることとなりました。
一方、支援においてどこまで運転適正評価や他職種連携を行うかは施設や個人ごとにばらつきが見られることから、その判断が作業療法士個人に委ねられている可能性も考えられることとなりました。